カーボンクレジット市場

カーボンクレジットとは

「カーボンクレジット」とは森林の保護や植林などによって生まれるCO2などの温室効果ガスの削減量を「クレジット」として発行し、ほかの企業などとの間で売買できるようにする仕組み。炭素クレジットとも呼ぶ。

削減努力をしても、削減しきれない温室効果ガスの排出量に合わせてカーボン(炭素)クレジットを購入することで、排出量の全部、または一部を埋め合わせする「カーボン・オフセット」ができる。

現在、世界世界ではカーボン(炭素)クレジットの需要が増加している欧米企業を中心に活発に利用されており、日本企業でも活用の動きが広まっている。

国内では2013年、カーボン(炭素)クレジットを国が認証する「J-クレジット制度」が試用中で、本格的な国内市場の創設が検討されている。

世界のカーボンクレジット市場

現在、世界125か国、1地域が2050年までにカーボンニュートラルを表明している。イギリスの調査会社のまとめによると、去年世界で発行されたカーボンクレジットは二酸化炭素2億2300万トン分となり5年間で3.8倍に増えたという。

現在は1トン当たり平均で5ドルほどで取り引きされていて、今後需要が一段と伸びることで2030年までに価格が最大10倍ほどになると予測。

炭素クレジット市場の拡大はITを活用した森林や農地の管理など効率よく二酸化炭素を吸収するための技術開発につながると期待されていて、欧米の企業を中心に利用が活発になっている。

一方で温室効果ガスの削減量を適正に評価できるかなど課題もあり、共通の基準づくりに向けた国際的な議論が必要。(出典:NHK)

二酸化炭素(CO2)削減の効果が不透明なカーボンクレジットが市場に広く出回っている実態が浮かんできた。カーボンクレジットは多種多様だが、ガス排出量を重さ単位で相殺する目的に限ると、どれを買っても同じ。こうした特性に「質」の低いクレジットが紛れ込む要因が潜む。市場急拡大のひずみを取り除く仕組みが必要だ。

質の悪いカーボンクレジット

「2019年度にカーボンニュートラル達成」。2021年1月に武田薬品工業が環境対策の成果を誇る発表文を配信した。温暖化ガス排出を「実質ゼロ」にした取り組みとして、過大発行が疑われるインドネシアの「カティンガンプロジェクト」のクレジット購入も含まれていた。

武田は「(カティンガンの)問題を把握していなかった。クレジットの選定過程を改善したい」とした。専門家の助言を得ながら、温暖化ガス削減の実効性を独自に審査しており、良質のものを選ぼうとする意識は高い。それでもカティンガンの実態を追い切れていなかった。

多くの企業は良かれと思ってカーボンクレジットを買う。事業者は売却で得た資金を将来の森林保護に回す。この好循環が続けば地球全体の温暖化ガス削減効果は高まるが、問題はクレジットの「質」に対し、買い手のチェックが働きにくいことだ。

森林保護を根拠とする民間クレジットが実態とかけ離れているのではないかとの疑念は世界各地で膨らんでいる。オランダのアムステルダム自由大のタレス・ウエスト助教授もそのひとりだ。

ブラジルにある12カ所の民間事業を対象に、それぞれと特徴が似た複数の地域を合成したモデルを開発。その経年変化と事業者による森林減少の試算を比べると、ほとんどでクレジットが実際の温暖化ガス削減効果より過大に発行できる見積もりになっていた。(出典:日本経済新聞)

カーボンクレジット市場 新設

日本では、経済産業省がカーボンニュートラルの実現に向けたカーボンクレジット市場の創設に向け基本指針を来春にも提示予定だ。