小型原子炉とは

小型原子炉=小型モジュール炉

SMR(Small Modular Reactor)「小型モジュール炉」

従来の出力100万キロワット超の原子力発電所と異なり、1基当たりの出力が小さい原子炉。大型の原子炉に比べ冷却しやすく、安全性が高いとされる。2011年の東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに欧米を中心に「原発離れ」が進んだ。脱炭素の機運が高まる中、温暖化ガスをほぼ出さず、大型炉よりも安全で低コストの小型炉に注目が集まっている。

小型原子炉とは

IAEA=国際原子力機関の定義では出力が30万kwh以下とされ、従来の原子炉に比べると3分の1から4分の1ほど。1基あたりの出力は小さいものの、モジュールと呼ばれる格納容器を何基も並べて運転することで、従来の大型原子炉に近い出力になる。(小型原子炉=小型モジュール炉は、複数の原子炉を接続してひとつのユニットを組み立てられるように設計)

小型原子炉 特徴

小型モジュール炉は世界各国で開発が進められていて、その特徴をキーワードであらわすとすれば、

  • 「小型」
  • 「モジュール」
  • 「多目的」の3つ。

「小型」

原子炉を「小型」にすると、大型の原子炉よりも冷えやすくなる。技術的に言えば、小型炉は体積の割に大きな表面積をもっているために起こる現象なので、たとえて言うなら、「同じ運動をしても子供や痩せている人のほうが体温を外へ逃がしやすい」というイメージ。この特性を突きつめていくと、原子炉に水をポンプで入れて冷やさなくても自然に冷えてくれる、といったことも可能。実現すれば、安全性が高まるうえに、原子炉全体を簡単な構造にすることができ、メンテナンスもしやすくなり、その結果、コストの削減ができ、経済性も向上する可能性がある。(資源エネルギー庁)

「モジュール」

米国ではクリーンな電力の3分の2が原子力発電によるものだ。しかし、既存の大型原子炉は次々と規制上の寿命を迎えつつある。現在では2基の大型原子炉が新たに建設中ではあるが、建設費はすでに予算を何十億ドルも超過しており、計画には数年もの遅れが出ているのが現状だ。

つまりこれまで、原子力発電所の建設は、ひとつひとつが1点ものとして現地で建設されており、そのため工期が長くなりがち。また、品質保証のために何重もの確認・認可試験を経てつくられてきた。そこで、モジュール建築の手法を最大限取り入れようというのが小型モジュール炉だ。「型式認証」という方法で設計認可を取得しておき、全体を一括で「工場生産+組み立て+輸送+設置」するという手法。こういった手法が、「小型」の原子炉であれば可能となる。

つまり小型モジュール炉は、小規模な電力が必要なときには、2〜3基のみ設置。広大な都市に供給できるだけの電力が必要なら、さらにいくつかの原子炉を追加すればいい。つまり、多様な状況に適した発電所を計画することが、はるかに容易になるというわけだ。小型であることから、大量生産して数個のモジュールとしてあらゆる場所に輸送することも可能になる。

「多目的」

小型モジュール炉は「発電」の用途以外に、「水素の製造」、「熱エネルギーの利用」「遠隔地でのエネルギー源」、「医療」などに特化した原子力技術を開発しようという動きがある。「遠隔地」では、離島や極地、はては宇宙での利用がターゲットに想定されることもある。一方「医療」では、放射性物質を使ったがん検査や治療に特化した技術開発が進められている。ほかにも、材料改質を目的とした原子力技術の産業利用についても研究が活発化している。(資源エネルギー庁)

米エネルギー省、原子力でグリーン水素製造

小型原子炉 安全性

安全性について、福島第一原発は、非常時に原子炉を冷やすため、水を外から注入する装置が備えられていたが、非常用電源などを津波で喪失し、冷却機能が失われて、メルトダウンを起こした。こうしたことから事故以降、非常時にも追加の冷却水や電源などを必要としない設計への注目が高まった。

小型のモジュール炉の場合、格納容器ごとプールに入れて動かす。出力が小さいため、事故が起きた場合、非常用電源や追加の冷却水がなくても、炉心を冷やして安全に停止させられる。

小型原子炉 世界の動向

  • 米ニュースケールパワー社、NRC=原子力規制委員会の設計審査を経て、世界で最も商業化に近い
  • 米プリズム社、原子炉の冷却に水ではなくナトリウムを使う。「高速炉」と呼ばれるタイプの原子炉
  • 日立製作所と米GE=ゼネラル・エレクトリックと共同で出資して設立したグループ会社で開発を進めている
  • プラント建設大手の日揮、「ニュースケールパワー」に4000万ドル(約43億円)を出資し、小型炉の設計や建設事業への進出を目指す
  • 英国ロールスロイス社、英国政府の支援を受け開発中
  • 韓国の斗山(ドゥサン)重工業が米国で設計認証を取得
  • 中国やロシアは国を挙げて原発開発を支援

小型原子炉 課題

大型原子炉に比べ参入障壁が低く、核拡散のリスクは高まる。使用済み核燃料をどう処分するかも明確に定まっていない。処分方法などの技術を確立し、廃炉までの工程表を定めることも普及には欠かせない。

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