世界の原子力 倍増へ 2050年

世界の原子力 倍増へ

国際原子力機関(IAEA)は9月16日、世界中で利用されている原子炉の長期的な傾向を地域ごとに分析した最新の年次報告書、「2050年までのエネルギー、電力、原子力発電予測」の第41版を発表した。

この中でIAEAは、10年前の福島第一原子力発電所事故以降初めて、今後数十年間に世界で予想される原子力設備容量の伸びを前年版から上方修正したと表明。地球温暖化防止の観点から世界中が脱化石燃料の方向に進んでおり、多くの国が信頼性の高いクリーンエネルギーの生産加速という観点から原子力の重要性を認識、その導入を検討中だと指摘している。

原子力は倍増。3億9,260万kW(2020年) → 7億9,200万kW(2050年)

IAEAは、野心的だが妥当かつ技術的に実現可能な政策シナリオ「高ケース」で、世界の原子力発電設備容量は2020年末時点の3億9,260万kWから、2050年には7億9,200万kWに倍増すると予測。前年版の予測では高ケースで7億1,500万kWとしていたが、今回この数値を約10%上方修正した。ただし、この予測を実現するには、原子力発電技術の技術革新を加速するなどの重要施策を実行に移す必要がある。市場政策や利用技術、リソース等の傾向が現状のまま続く「低ケース」の場合、原子力発電設備は2050年まで現在の数値とほぼ同レベルの3億9,400万kWに留まるとしている。

IAEAのR.M.グロッシー事務局長は、「低炭素なエネルギー生産で原子力が果たす必要不可欠な役割が明確に示された」とコメント。「CO2排出量の実質ゼロ化という点で、非常に重要な電源である原子力への注目が高まったのは明るい兆候だ」と述べた。

今回の年次報告書によると、2020年の末時点で世界では442基、3億9,260万kWの原子炉が稼働中で、52基、5,440万kWの原子炉が建設中だった。この年に5基、552万1,000kWの原子炉が新たに送電網に接続された一方、閉鎖された原子炉は6基、516万5,000kW。このほか4基、447万3,000kWの原子炉建設が新たに始まっている。

IAEAは世界の総発電量は今後30年間で2倍に増加すると予測しているが、世界中の原子炉は2020年に2兆5,530億kWh(約4%減)を発電し、総発電量の10.2%を供給。高ケース予測では、2050年までに原子力発電シェアは前年版予測の11%から約12%に増加するものの、これを達成するには政府や産業界、国際機関等の協調行動により、相当量拡大させる必要があるとした。低ケースではこの数値は6%に低下するが、この場合石炭火力の発電シェアは1980年以降ほとんど変化せず、2020年実績の最大シェアである約37%をそのまま維持するとしている。

小型原子力(30万キロワット以下)

また、原子力による水素製造や、先進的原子炉あるいは小型炉などの新しい低炭素な発電技術は、CO2排出量の実質ゼロ化を達成する上で非常に重要だとIAEAは指摘。原子力は電力需要の増加や大気の質の改善、エネルギーの供給保証等に解決策をもたらすものであり、原子力技術の活用を拡大する技術革新が進行中だと述べた。

小型原子炉(小型モジュール炉)とは

さらに、経年劣化の管理プログラムなど、長期運転に向けた作業が行われている原子炉の基数はますます増加している。世界の原子炉の約三分の二で運転開始後30年以上が経過しており、一部の原子力発電所では運転期間を60年から80年に拡大する動きもみられるが、長期的には閉鎖される原子炉の容量を相当量の新たな原子炉で補わねばならない。現在のエネルギーミックスで原子力が果たしている役割を維持するにも、新たな原子炉が数多く必要となるが、経年化した原子炉の更新については特に、欧州や北米で不確定要素が残されているとIAEAは指摘している。

(参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

出典:原子力産業新聞

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