電力のカーボンニュートラル 価格高騰必須!?

エネルギー白書とは、エネルギーに関する年次報告書のことで、エネルギー政策基本法(平成14年法律第71号)第11条に基づき、政府がエネルギーの需給に関して講じた施策の概況について国会に提出する報告書。

2050年までに脱炭素社会を実現する方針を初めて盛り込んだ20年度版のエネルギー白書。主内容は以下の通り、この中にある電力のカーボンニュートラルについて抜粋してみた。電力価格が2050へ向け高騰するのは必須か!?

(1)福島復興の進捗

  • 帰還に向けた環境整備など原子力被災者支援の状況
  • ALPS処理水処分に係る基本方針の決定
  • 燃料デブリ取出しなど廃炉の進捗状況    等

(2)2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組

  • エネルギーを巡る情勢の変化
  • 諸外国における脱炭素化の動向
  • 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組  等

(3)エネルギーセキュリティの変容

  • これまでのエネルギーセキュリティの総括
  • エネルギーセキュリティの構造変化(新たな課題としての気候変動への対応、サイバーセキュリティ等)
  • 構造変化を踏まえたエネルギーセキュリティの定量評価   等

電力のカーボンニュートラル

日本が排出する温室効果ガスのうち約9割がCO2であり、CO2の排出量の約4割が電力部門、残りの約6割が産業や運輸、家庭などの非電力部門からの排出となっています。

2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組の中で、2050年までに電⼒はほぼ脱炭素化としています。
電力部門のCO2排出量の大半を占めるのが火力発電所からのCO2排出であり、2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、火力発電所からのCO2排出量を削減していく必要があります。火力発電はCO2を多く排出しますが、一方で、太陽光発電や風力発電など出力が変動する再生可能エネルギーの導入拡大を支える機能も持っています。

太陽光発電や風力発電は、

  • ①天候等の自然条件によって出力が変動する、
  • ②日照量や風況などの適地と電力の需要地が必ずしも一致しておらず、送電網の整備が必要であること、
  • ③災害等により電源が脱落した際の系統の安定性を保つ機能(慣性力等)を有していないこと、
  • ④自然制約(太陽光発電に適した平地や風力発電に適した遠浅の海などが我が国は少ないこと)や社会制約(農業や漁業等の他の利用との調和や地域との調整が必要であること)がある中での案件形成、
  • ⑤以上の諸課題を克服していくために大規模な投資が必要であり、適地不足により今後コストが上昇するおそれがある等の課題があります。

火力発電は、

  • ①安定して大きな供給力持ち、
  • ②電力の需要と、太陽光発電や風力発電等により変動する電力供給を一致させる上での重要な調整力(需要に合わせて供給量を調整できること)であること、
  • ③系統で突発的なトラブルで生じた場合でも、周波数を維持し、ブラックアウトを防ぐなど、重要な役割を果たしています

今後、脱炭素電源、特に再生可能エネルギーを主力電源化していく中で、火力発電が担ってきた役割を、水素・アンモニア等のCO2フリー電源、CO2の貯留・利用(CCUS)、蓄電池等の技術を組み合わせながら代替していく必要があります。

出典:成長戦略会議(第6回)(2020年12月25日)資料を一部加工

2050カーボンニュートラルに向けて 

2050年カーボンニュートラルを実現する上で不可欠な重点分野ごとに、①年限を明確化した目標、②研究開発・実証、③規制改革・標準化などの制度整備、④国際連携などを盛り込んだ「実行計画」を策定し、合わせて2050年までの時間軸を持った工程表を提示しています。
政府としては、2兆円のグリーンイノベーション基金をはじめ、税、規制改革・標準化、国際連携などあらゆる政策を総動員して、グリーン成長戦略を実行し、企業の前向きな挑戦を全力で後押しします。

非効率石炭火力発電のフェードアウト

2018年度において、石炭火力発電による発電量は、総発電量の32%を占め、その内訳は、高効率の石炭火力発電が総発電量の13%(計26基)、非効率の石炭火力発電35が総発電量の16%(計114基)、自家発・自家消費分が総発電量の3%となっています。こうした中で、経済産業省は、非効率石炭火力のフェードアウトを着実に進めるため、

  • ①省エネ法上で石炭火力の発電効率目標を最新鋭のUSC(超々臨界)の水準に設定する規制的措置、
  • 容量市場により安定供給に必要となる供給力を確保しつつ、稼働抑制に対するインセンティブを付与することにより発電量(kWh)削減を促進する誘導措置、
  • 事業者の取組を確認・担保するためにフェードアウトに向けた計画の提出を求めることで、安定供給を確保しつつフェードアウトを進めていく方針を示しました。

以上、エネルギー白書より

電力価格高騰の危惧

①容量市場

  • 容量市場とは、従来の卸電力市場で取引されている「電力量(kWh)」ではなく、「将来の供給力・発電能力(kW)」を取引する市場
  • 将来にわたる供給力(電源)を効率的に確保するために、欧州各国(イギリス・フランスなど)やアメリカなど、諸外国で広く導入されているが、海外事例を見ると、実質的には原発・石炭火力への補助金と化している
  • 具体的には発電所等の供給力に対し、長期的な投資回収の予見性を持たせることで、市場原理により適切な電源構築を行い、中長期的に必要な供給力等を確保するための仕組み
  • 2024年度の電気を対象に、2020年7月に日本でも第1回の入札が行われ、あらかじめ設定された上限価格は1キロワット当たり1万4138円で、約定価格はほぼその上限の1キロワット当たり1万4137円だった(上限を1円下回る!)。供給力の新設などに必要とされる9425円を大幅に上回っている。要は、すでに高値で取引が決まっているということだ。
  • これは1.67億KW×1万4137円=約2.3兆円にものぼる。2019年の販売電力量約8632億kwhで割ると、約2.66円/kwh、一般家庭で1カ月300kwh使用したとすると、805円/月の負担となる。
  • 約定価格が低すぎれば電源の新設・更新費用を確保するという容量市場の目的が果たせなくなる。ただ、前回の結果は小売事業者の強い不満につながった。(入札の買い手は日本の場合、電力広域的運営推進機関)今後は上限価格の設定方法など入札制度を検証し、必要な見直しを実施するという。

②再エネ賦課金

  • 電気料金とともに請求される「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」は毎年増加している。
年度1kWhあたりの単価(前年度比)標準家庭のひと月当たりの負担額*
2021年度3.36円(約13%増)1,008円
2020年度2.98円(約1%増)894円
2019年度2.95円(約2%増)885円
2018年度2.90円(約10%増)870円
2017年度2.64円(約17%増)792円
2016年度2.25円(約42%増)675円
2015年度1.58円(約110%増)474円
2014年度0.75円(約115%増)225円
2013年度0.35円(約60%増)105円
2012年度0.22円66円
*ひと月あたり300kWhの電気を使用で計算

③福島原発処理費用

  • 2020年10月から、今後40年続く電気代値上げがこっそりと始まっている。ご存知だろうか?2011年3月の東京電力の福島第一原発事故だが、負担増となるのは、原発事故とは関係ない新電力事業者及び消費者だ。新電力が発電した電気を供給する際に、既存の電力網を使用する。その「使用料」は、託送料金と呼ばれるが、これに原発事故による賠償や廃炉費用の一部を上乗せすることを、経済産業省が省令で決めたのだ。だが、これは本来、原発事故を起こした東京電力及び、その他の原発事業者が負担すべきものだと思うのだが如何であろうか?総額で2.4兆円。

④再生可能エネルギー100%なら

  • 今年5月の経済産業省の試算提示によれば、1キロワット時(kwh)あたり53.4円となり、現行の電力コストの約2倍になるとの試算を新たに示している。

テキサス州の家庭では1週間の電気料金が100万円になるのか?

2050年カーボンニュートラルのシナリオ分析(中間報告)