新電力 倒産

2020年12月~21年1月の電力卸売価格の急騰に伴い、特例措置※を受けている新電力会社もあるが、今年3月にはF-Power、5月にはパネイルが倒産するなど新電力会社の倒産が目についている。

※特例措置:2020年12月から2021年1月にかけて電力卸売価格が急騰したことが記憶に新しい。新電力などの小売電気事業者は、当初の需給計画を遂行できない場合、その不足分をインバランス料金として一般送配電事業者に対して支払う義務がある。このインバランス料金の計算は、卸電力市場の価格と連動する仕組み。そのため、年始にかけての価格高騰により、市場からの電力の調達が困難となったことで、多額のインバランス料金支払いを抱える新電力が相次いだ。 こうした状況に対し、経済産業省ではインバランス料金の支払いを分割可能にするなどの救済措置を行っている。

新電力の主な倒産

倒産年月倒産会社倒産負債(百万円)倒産態様
2016年4月日本ロジテック協同組合16,282破産
2018年8月福島電力株式会社221破産
2020年1月エレスト合同会社378破産
2021年3月株式会社F-POWER46,400会社更生法
2021年5月株式会社パネイル6,100民事再生法
新電力の主な倒産

日本ロジテック 倒産理由

日本ロジテック協同組合のビジネスモデルは、一括購入した電気を組合員に給電し、電力料金の低減を支援するというものだった。2012年3月期売上は約4億円で、2015年3月期売上は約556億円となっていた。新電力として電力小売事業を急拡大し、3年間に100倍以上の規模になったわけだ。もともと協同組合で2015年3月末時点の組合員が約700団体程度で、加盟するための出資金は10万円だったと記憶している。資金繰りは忙しかったはずだ。

そのような中、経済産業省は、再生可能エネルギー特別措置法に基づき、納付金(電気の使用者から支払われた賦課金)を納付しない電気事業者として、日本ロジテック協同組合を公表した。このことにより、信用不安が起き、金融機関などからの資金調達が困難となった訳だ。

福島電力 倒産理由

契約者との間で営業手法や料金請求でトラブルが頻発、福島電力の直接的な破綻の原因は、地元の不動産屋を通じた無理な顧客拡大路線が根底にあったといわれている。2016年10月に新電力会社として設立した福島電力は、わずか2年もたたない2018年8月8日に破産手続き開始決定を受けた。

F-Power 倒産理由

小売電気事業者の登録第一号のF-Power、F-Powerはエスコビジネスの先駆者ファーストエスコから分かれた独立系新電力である。自治体を中心とした顧客獲得で急成長し、2018年には売上1600億円で新電力業界トップに躍り出た。大企業を基盤とする新電力以外では驚異的な規模といえた。

急激な成長の源泉はごく単純で、行き過ぎた低価格販売戦略であった。当然どんな独自電源を持つのかと不思議でに思ったこともあったが、電源の調達は日本卸電力取引所(JPEX)であった。JPEXが安ければ利益が出るが、高騰すれば利益を吐き出すビジネスモデルとなっていた。その結果、2018年の決算で120億円、2019年の決算で184億円の赤字を出していた。

さらにF-Powerは、電力広域的運営推進機関(広域機関)からインバランスのコントロールをきちんと行ってない、不適切な計画を出し続けた(※)ことや違約金に関する契約内容を一方的に変更したことなどで、業務改善勧告を受けていた。異常な安売りだけでなく、事業の進め方がルールにのっとって行われていたかも疑問が残る。

※電力は需要と供給が一致しないと停電などのトラブルを招く。そのため発電事業者と小売事業者は毎日、翌日分の発電計画、需要計画を広域機関に報告する義務がある。小売事業者は需要計画と一致する調達計画を立て、自前の発電所からの供給で足りない分はあらかじめ市場で購入する仕組みだ。ところがF-Powerは不適切な計画を出し続けた。この背景には電力の「二重価格」がある。実際の電力需給は事前の計画通りになるわけではない。そこで実需と計画の差である「インバランス」を調整する仕組みがある。実需が小売事業者の調達計画を上回った場合の「不足インバランス」は大手電力が穴埋めし、小売事業者はその分の料金を事後的に支払う。インバランス価格は日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格と連動しており、事前にJPEXの市場で買うより、後から大手電力に不足インバランス料金を払うほうが安くつくことが多い、という訳けだ。さらに大手電力が「不足インバランス」料金を計算し、請求をあげてくるまでの時差も大きく、JPEXに前払いすることに比べ資金繰りにも有利になる。

パネイル 倒産理由

2016年4月に電力の小売が全面自由化されると、次世代型エネルギー流通基幹システム「パネイルクラウド」を手掛け小売事業に参入。AIを活用し効率的に電力調達や需給管理や料金請求ができるシステムであった。しかし2018年に電力卸取引所(JPEX)の価格の高騰にあおりを受け、パネイルはJPEXに左右される電力小売事業から事業方針を転換。電力小売事業を縮小し、パネイルクラウドなどを中心にプラットフォーム事業の拡大にかじを切っていた。

2018年東京電力HDの電力小売子会社「東電EP」との合弁会社「PinT(ピント)」を設立したが、すぐにパネイルの技術者(CTO)が合弁会社「PinT」へ移籍するなどのトラブルで裁判沙汰になっていた。

個別の事例を見ていくと、それぞれある意味で特殊な課題を抱えていることがわかるが、主要因は低価格による急拡大戦略の失敗が多い。700を超えるの新電力が立ち上がった結果として競争が激化し安売り合戦を呼んでいることは間違いない。

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