水素発電稼働 イーレックス

水素発電所の商業運転は国内初

独立系の新電力大手、イーレックスは水素を燃料にし、二酸化炭素(CO2)を排出しない発電所を2021年度内に山梨県で稼働させる。経済産業省によると水素専焼の水素発電所の商業運転は国内初。まず一般家庭約100世帯弱が1年間に使用する電力を賄える規模の発電所を設ける。国内で水素をエネルギーに活用する動きが広がる。本プロジェクトにて30円/N㎥水準を目指すという。(現在: 100円/Nm3)

以下、イーレックスのリリース

イーレックス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 本名 均、以下「イーレックス」)は、Hydrogen Technology株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 山本 泰弘、以下「HT」)との間で、水素専焼による発電、及び燃料電池自動車(以下「FCV」)への水素供給に関する共同事業開発検討(以下、「本プロジェクト」)に関する覚書を締結しましたのでお知らせいたします。

 世界は脱炭素社会の実現に向けた取組が急加速しております。日本のエネルギー政策の基本方針は、安全性(Safety)を大前提とし、自給率(Energy Security)、経済効率(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成することとされております。なかでも、環境適合と自給率を共に解決する可能性を持つ水素は、石油以外の一次エネルギーから作り出すことができ、エネルギー効率が高く、利用段階でCO2を排出しないクリーンエネルギーとして注目されております。

 本プロジェクトは、HT社独自開発の「水」と「岩石由来の触媒」のみによる常温・低圧の下、「水素」を取り出すという新技術により製造される安全で安価な水素を用いて、発電事業、燃料電池自動車事業など幅広い水素利用について検証し、取組むものです。

 その1stステップとして、HT社の技術を用いて、水素専焼発電を行う為に十分な水素発生が、連続的に得られるという実証を行うため、東京電力パワーグリッド株式会社管内に3百kW級の水素発電所の建設を進めており、2021年度内での運転開始を目指しております。今後は、さらなる大型の水素専焼の発電所の開発に着手し、水素供給量及びコストダウン等検証を推進してまいります。併せて、FCVへの水素供給事業への参入も検討してまいります。なお、本プロジェクトは、商業運転としては国内初の水素専焼発電所となります。

イーレックスは、「新たな発想と行動力で、未来を切り拓く」をもとに、「2030ビジョン ~持続可能な社会実現のために~ 再生可能エネルギーをコアに 電力新時代の先駆者になる」を掲げております。当社は、バイオマス発電事業に加え、水素についても将来の重要な環境エネルギーのひとつとして位置づけ、エネルギー関連事業の開発を多角的に取り組んでいきます。また、気候変動緩和に関する長期目標である「2050年のカーボンニュートラル化」の達成と、「持続可能なエネルギーサイクルの実現」に大きく貢献すべく、今後も水素社会の実現に向けた取り組みを加速させていきます。

水素発電が注目される理由

水素は石油や石炭や天然ガスのような化石燃料と違って、燃焼させてもSOx(硫黄酸化物)のような大気汚染の原因になる有害物質や、CO2(二酸化炭素)のような地球温暖化の原因になる温室効果ガスを発生しない。排出されるのは「H2O」の水だけだ。

そんなクリーンな水素を利用する「水素発電」は今、化石燃料を燃やす火力発電に代替できる存在として注目されている。

経済産業省のグリーン成長戦略では2050年カーボンニュートラルの実現を目指しているが、2050年には発電量の約50~60%を再生エネで賄うことを参考値とし、水素・アンモニア発電10%程度、原子力・二酸化炭素(CO2)回収前提の火力発電30~40%程度を議論を深める参考値としている。

水素の海外動向

  • EUやドイツやオランダ、豪州など多くの国で水素の国家戦略が策定されるなど、世界中で取組が本格化している。
  • 脱炭素化が困難な商用車や産業分野での水素利用や、水素発電の導入、水素輸入に向けたサプライチェーンの検討等の動きが進展している。

ドイツでは、2020年6月に国家水素戦略を策定。国内再エネ水素製造能力の目標を設定(2030年
5GW、2040年10GW)としている。

EUでは、2020年7月に水素戦略を発表。2030年までに電解水素の製造能力を40GWを目指している。

フランスでは、2020年9月に水素戦略を改訂。2030年までに電解装置6.5GWの設置、年間60万トン
のグリーン水素生産を目標として設定。グリーン水素の生産に使用する電力としては、再生可能エ
ネルギーおよび原子力発電由来の電力を想定している。

水素発電 安全性?

水素は、一般的に「爆発する」「危険」「地震や火災の時が怖い」というイメージがどうしてもつきまとう。

水素は地球上で最も軽い物質で、空気中で拡散しやすいが、閉じこめられて4%以上の濃度になると爆発の可能性が生じる。密閉空間で大量の水素と酸素が混在し、500度以上の熱エネルギーが加わると爆発の危険性はさらに大きい。そのため水素の取り扱いでは「水素を漏らさない」「漏れた時は即座に検知し水素供給を止める」「漏れてもたまらないようにする」などの安全対策がとられる。

日本では「高圧ガス保安法」で、水素の製造から貯蔵・輸送・利用までの全プロセスが規制を受けている。また、水素の製造設備、貯蔵設備には消防法や建築基準法、輸送車両には重量制限の規定が設けられている。それは水素発電所でも同様に適用される。そうした安全規制のもと、水素の性質をふまえた適切な管理を行っていれば、着火や爆発のリスクは低減される。