アサヒ、再生エネ100%に 25年、欧州全17工場

アサヒグループホールディングス(GHD)は2025年までに欧州で展開する全17工場で、使用電力のすべてを再生可能エネルギー由来に切り替える。風力発電が普及し、再生エネの調達費用が安い欧州で先行して取り組み、50年には世界の全工場での達成を目指す。温暖化ガス問題は炭素税など企業に新たな費用負担を迫っており、対応を急ぐ。

アサヒGHDは19年に世界で948ギガ(ギガは10億)ワット時の電力を使用し、欧州事業は約3割を占めた。20年にオランダとイタリアの計4工場で風力発電を中心とした再生エネ100%に切り替えたほか、21年中にポーランドの3工場で全量を風力発電にする。欧州の残る10工場でも25年までにすべての電力を風力や太陽光などの再生エネにする。

欧州では風力発電のコストが下がるなど、再生エネを調達しやすい環境にある。アサヒGHDによれば、欧州全工場を再生エネに切り替えても、従来と比べて電力の費用は下がる見通しという。

アサヒGHDは20年6月に買収したオーストラリア事業を含め、世界で全76工場を持つ。再生エネの利用率は20年時点で8%だが、欧州を皮切りに50年に世界で100%を目指す。

温暖化ガスの排出量削減に向け、世界では排出量に応じて課税する炭素税や超過分を市場でやり取りする排出枠取引の導入が進みつつある。アサヒGHDは二酸化炭素の排出量1トンあたり100ドルの炭素税が全世界で導入された場合、30年には最大57億円のコスト増につながるとみる。

温暖化ガスへの企業対応としては、事業で使うすべての電力を再生エネで賄うことを目指す国際的な企業連合「RE100」がある。20年12月時点で世界の280社超(日本企業は46社)が名を連ね、アサヒGHDも20年10月に加盟した。

18年時点で米マイクロソフトや独SAPなどITや金融機関を中心に30社超が100%再生エネ利用を達成しているが、エネルギー使用量の多い製造業は40年代や50年代の達成を目指す企業が多い。アサヒGHDの取り組みは「欧州に限定されるとはいえ、25年の早期目標は製造業の中では珍しい」(日本総合研究所の滝口信一郎シニアスペシャリスト)。

アサヒGHDにとっては事業そのものに直結する面もある。温暖化が進めば、ビールの原料である農作物の収穫量が減る恐れがあるからだ。2100年までに世界の平均気温が18世紀の産業革命前と比べ2度上昇した場合、ホップの収穫量は50年に18年比で7%減り、トウモロコシの収穫量も13%少なくなる見通しだ。

出典:日本経済新聞