東京・丸の内の鉄鋼ビル、電力を100%再生エネに

東京・丸の内の「鉄鋼ビル」を運営する鉄鋼ビルディングは同ビルで使う全電力を再生可能エネルギー由来に切り替える。今月にバイオマス発電に変更する。丸の内の大規模ビルで全量を再生エネに転換する動きは初とみられる。菅義偉首相は50年に温暖化ガス排出量の実質ゼロを打ち出しており、環境保全を進める動きが加速しそうだ。

鉄鋼ビルは地上26階の本館と20階の南館で構成。1951年に建設され2015年に建て替えた。アセットマネジメントOneや日本M&Aセンターなど合計65の企業や店舗が入居している。

鉄鋼ビルディングは18年から、ENEOSホールディングス傘下のENEOS(東京・千代田)を通じて電力供給を受けている。環境に配慮したビル運営が求められるなか、来年1月からENEOSが川崎市や北海道室蘭市のバイオマス発電所で作った電力に切り替える。20年9月期ではビル全体の使用電力は約1470万キロワット時だった。

15年に建て替えた鉄鋼ビルには地下の電気室の廃熱を利用した電力供給のほか、全館に発光ダイオード(LED)照明を取り入れた。すでに省エネは進めてきたが、今回の再エネ活用でさらに年8千トンの二酸化炭素(CO2)削減が期待できるという。

電力を再生エネ由来に変更することで、年間の電力料金は1割強上がる見込み。だが、入居企業に価格転嫁はしない方針だ。増岡聡一郎専務は「企業の働き方や働く場所が変わるなか、オフィスも選ばれる時代に入った」と説明。新型コロナウイルスを機にオフィスの縮小や退去が増える見通しのなか、環境に配慮する考えを打ち出し他のビルと違いを打ち出す。

丸の内には超高層ビルが林立しているが、全電力を再生エネで賄う動きは珍しい。丸の内を地盤とする三菱地所でも丸ビルの約60%が最高としている。政府は脱炭素や再エネ活用に力を入れており、不動産業界でも今後、独自の取り組みが加速する可能性が高い。

出典:日本経済新聞