「EVスマート充電サービス」を開始 エネット

NTT系の新電力大手エネット(東京・港)は11月中旬から、電気自動車(EV)の充電を人工知能(AI)で遠隔制御する事業を始める。電気代が安い夜間などに充電し3割ほど削減できる。EV販売は海外に比べ出遅れているが、政府の温暖化ガス削減目標もあって今後市場拡大が見込める。他の電力大手も相次ぎ導入支援を始めている。

エネットはNTTグループのエネルギー事業を統括するNTTアノードエナジー(東京・千代田)が51%を出資し、販売電力量で新電力首位。契約する全国の法人を対象に、EVの充電管理事業を展開する。

オフィスや営業所で使う電力は、瞬間的な最大使用量が増えるほど料金が高くなる。例えば、最大50キロワットの契約をしている企業が営業用にEVを導入した場合、充電する時間帯によっては契約を上回る電力を消費。電気代が一気に上昇してしまう。それを防ぐには充電する時間や台数を分散させる必要があり、手間がかかる。

エネットはイスラエルのシステム会社ドライブズ社と組み、無線通信でEV充電を遠隔制御する仕組みを開発した。契約企業の電力消費量をAIで分析し、無線で充電器を操作。企業側はEVを充電器につなぐだけで、電力の最大使用量を上回らない時間帯を選んで充電してもらえる。

エネットの試算では、小規模なオフィスビルにEVを10台ほど導入した場合、年間の充電料金は約45万円。これを電気代の安い夜間中心に充電することで30万円程度に抑える。契約した最大電力量を上回らないよう遠隔誘導するため、基本料金も約113万円から54万円程度に削減できる。保有台数の多い配送業者などは、さらに多くの電気代を削減可能だ。

エネットはすでに北九州市などで実証試験をしており、安全に遠隔操作できることを確認した。サービスの提供費用は年間で数十万円程度になる場合もあるが、導入企業は電気代削減効果の方が大きくなる。

大手電力では関西電力も7月に同様の事業を始めた。東電や中部電力は定額でEVを充電できるサービスを21年にも始める。全国の充電器を月5000円から利用できるようになり、充電費用を抑えられる。

法人向けEVの導入支援は海外勢が先行している。イタリアの電力大手、エネルグループは充電費用を抑えるEV管理事業を展開。米チャージポイントもEVの充電状態を遠隔監視・分析する事業を提供している。

調査会社の富士経済(東京・中央)によると、国内のEV販売台数は19年に約2万台。欧州の約37万台に比べるとわずか5%ほどにとどまる。政府は温暖化ガスの排出量を50年までに「実質ゼロ」にする目標を掲げており、国内のEV市場も30年には30万台に増える見通し。電力会社にとってEVは、国内で数少ない有望市場となっており、導入支援で普及に弾みをつける。

出典:日本経済新聞

EVスマート充電サービスにおける電気料金制御イメージ

EVの充電制御をしない場合、一斉に複数のEVを充電すると、ある時間帯のみに電力需要が集中し電気料金の高騰につながる恐れがあります。EVスマート充電サービスでは充電のタイミングをシフト(ピークシフト)することにより、基本料金の超過回避や従量料金の低減が期待できます。受電設備における最大デマンド(最大需要電力)を抑制し、契約電力の減少を図るしくみ。

充電制御しない場合、最適な充電制御 イメージ
受電設備における最大デマンド(最大需要電力)を抑制し、契約電力の減少を図るしくみ。