関西の電力卸値、猛暑でも2割安 

関西で電力の卸売価格が低迷している。猛暑もあって8月の関西の送電量は前年同月比で3%増えたが、電力スポット(随時契約)価格の平均は2割下がった。太陽光発電の拡大で供給に余裕ができた一方で、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動は落ち込んでいる。足元の需要増も猛暑による特殊要因との見方が強く、電力の安値傾向はしばらく続きそうだ。

日本卸電力取引所(JEPX)で取引された8月の関西の電力スポット価格の平均は1キロワット時7.2円で、前年同月より16%安くなった。お盆期間中には最低値の0.01円で取引される時間帯もあった。関東も同水準の価格だったが、前年が高かった反動もあり41%下がった。

安値の要因の一つは太陽光発電の拡大だ。固定価格買い取り制度(FIT)の対象設備だけを見ても、2019年度の全国の供給量は16年度比で5割増加。環境エネルギー政策研究所(東京・新宿)によると19年度の国内発電量における太陽光のシェアは7.6%で、3年で3.2ポイント増えた。今夏は好天の日も多く、需要のピークを迎える昼間に太陽光発電が増え供給力が高まった。

新型コロナによる経済停滞も要因だ。関西電力によると7月は「ホテル・旅館」「自動車(工場)」向けともに電力供給は前年同月より2割減った。稼働率が下がった工場や営業縮小を続ける商業施設は多く、法人の電力需要はコロナ前の水準に戻っていない。

テレワークの普及も響いている可能性がある。在宅勤務の広がりで、電力需要の大きいオフィスビルの光熱費が下がっているもよう。4月から全社員を原則、在宅勤務に切り替えたソフト開発のフェンリル(大阪市)では6月のオフィスの電気代が6割減ったという。

足元では記録的な猛暑が続く。気象庁によると、8月下旬の大阪市の平均気温は30.4度と、前年同期を3.5度上回った。電力需要は気温に左右されやすく、8月後半だけを見ると関西の送電量は12%増え、スポット価格は24%高くなっている。

それでも日本エネルギー経済研究所の小笠原潤一研究理事は「8月後半の需要増は、高気温による例外的な現象」と指摘、「気温が高い割に、需要の伸びは小さい。新型コロナによる産業活動のマイナス基調は変わっていない」と分析する。秋にかけて気温が下がれば、空調需要も落ち込む。電力需要や価格の低迷は続く可能性が高い。(平嶋健人)

出典:日本経済新聞