イーレックス CO2ゼロ電力、家庭にもお届け

新電力大手のイーレックスは7月1日、家庭向けに二酸化炭素(CO2)の排出量が実質ゼロの電力販売を始める。「脱炭素」の潮流が強まるなか、環境保護への意識が高い家庭が増えると判断した。

イーレックスは現在、東京電力エナジーパートナーと共同出資するエバーグリーン・マーケティング(東京・中央)を通じて法人向けにCO2排出量ゼロの電力を販売している。化石燃料由来の電力ではないことを証明する「非化石証書」を太陽光やバイオマスなどで発電した電力と組み合わせ、発電量あたりのCO2の排出量を実質的にゼロとして供給する仕組みだ。

家庭向けに販売組織も刷新

同様の電力メニューを家庭向けにも拡充する。まずイーレックス子会社で家庭向け電力販売を担ってきたイーレックス・スパーク・マーケティング(東京・中央)を7月1日付でエバーグリーン・マーケティングの傘下にし、社名も「エバーグリーン・リテイリング」に変更。家庭向けCO2ゼロ電力は同社を通じて販売する。

家庭向けCO2ゼロ電力の料金は、環境価値がある分、同社グループの通常の電力と比べ7%割高になる。一方、大手電力の通常の電力料金と比べれば1.5~2%ほど安いという。

販売メニュー拡充の背景にあるのが電力小売市場の激化だ。電力小売りは2016年に全面自由化し、家庭向けを中心に異業種の参入が相次いだ。顧客獲得のため各社による値下げ競争が進み、電力事業で安定した収益を上げることが難しくなっている。

電力小売り各社は価格競争からの脱却を目指し、多様な電力メニューで他社との差別化を図ろうとしている。環境に配慮した電力を販売する事業者も多く、東京電力ホールディングスなどの電力大手のほか、オリックスや丸紅新電力(東京・中央)が提供。イーレックスも電力販売の多様化を目指し、CO2ゼロ電力を拡充することを決めた。

バイオマス発電を強化

買い取りも強化する。6月には太陽光の固定価格買い取り制度(FIT)が終了した家庭を対象に、余剰電力を買い取る事業を始めた。CO2ゼロ電力の調達先を多角化することで、安定した価格で電力を販売できるようになる。

イーレックスはガスや石油などの顧客基盤を持たない独立系の新電力。20年3月期の連結売上高は前の期比34.7%増の約886億円だった。

同社は日本各地でバイオマス発電所の運営を手掛け、他の新電力と比べ安定した電力調達が強み。1月には福岡県豊前市で約15万世帯分の電力需要をまかなえるバイオマス発電所の営業運転を開始した。今後は海外でもバイオマス発電所の運営を目指す方針で、小売事業と共に収益の拡充を目指す。

出典:日本経済新聞(企業報道部 落合修平)